「啐啄の機(そったくのき)」という言葉がある。
私が新卒の時に、当時の営業所長が朝礼で話してくださった言葉だ。
「啐啄の機」とは・・・
鳥のヒナが卵の殻の内側からコツコツと叩くことを「啐」(そつ)と言い、
親鳥が卵の殻の外側からつつくことを「啄」(たく)という。
卵がふ化するとき、ヒナは卵の内側からくちばしで殻を破ろうとし、
また親鳥も外からその殻を破ろうとする。
そのタイミングが一致するからこそ、ヒナ鳥はこの世に生を受けて外の世界にでることができる。
物事を成し遂げる際における得難いチャンス、機会の例えとしての禅語である。
私の上司でもあった営業所長は新卒の私たちに対して、
「自分の殻に閉じこもっていないで、このタイミングで変わらないとどうするのだ!!」
という叱咤激励を込めた訓示であったように記憶しているのだが、
人事という仕事に携わらせていただいてからは、より心に響く言葉でもある。
人事担当としてショックな事と言えば、採用通知後に様々な理由により辞退されるケースである。
それ以上になおショックな事と言えば、満を持して採用した職員が様々な理由で離職してしまうことである。
本サイトでも平均勤続年数を法人の数字として記載されている。
当法人は、離職率そのものは低下傾向ではあるものの、まだまだ満足のいく数字には到達していない。
劇的に変動する数字ではないので、地道な活動を継続して行っていくのは当然のことではあるのだが、
まだまだやるべきことは多いと上半期を振り返り反省をしているところである。
ありがたいことに、今年も新卒からの応募があり、先月度に採用試験を終えたばかりだ。
未来ある若人のために、自身がどのように関わっていくべきか。
自身が新卒の頃、公私共に世話になったかつての上司のように、来春の入職後は陰ながら支えてあげたい。